こいずみ産地展を訪ねて
■家具デザイナー小泉誠さんと協働する8社が集う合同展示会
家具デザイナーの小泉誠さんが協働する、全国のつくり手が集い「つくりたい気持ちをつくり、育む」という思いから始まった『こいずみ産地展』。つくり手の「強い点」を「線」で結び、やがて大きな「面」となって、誠実なものづくりのプラットフォームを構築することを目指した取り組みです。
2回目となった今回のこいずみ産地展は、日本一の家具の産地である福岡県大川市で、創業約160年の歴史を持つ『丸徳家具店』で開催。北海道から九州まで、日本各地から8社が参加しました。家具業界で展示会が縮小傾向にある中で、たくさんのバイヤーやメーカー、工務店の方が来場され、日本の家具やものづくりの未来を考える機会となりました。
(書き手:相羽建設広報・こいずみ道具店Online Shop担当 中村桃子)
■慶応3 年創業、大川で160 年目を迎える丸徳家具店
会場となった丸徳家具店は、現在の代表である佐藤徳宗さんが5代目。ご夫婦2人で営む、歴史ある家具店です。小泉さんデザインの『kuku chair』の構造を、宮崎椅子製作所の工場で見たことをきっかけに『椅子( 脚物)』の魅力に着目した佐藤さん。2016年に小泉さんの設計で店舗を建て替え、じっくり丁寧に家具を伝えるお店を模索してきたと言います。
今回の展示では店内の家具を一掃して、全ての空間をこいずみ産地展の家具のみで構成。手入れの行き届いた美しい芝とシンボルツリーの百日紅が、来場者を出迎えます。普段は公開していない屋根裏部屋「杉の間」の特別展示も見どころの一つ。魅力あふれる空間で、全国のつくり手による家具や道具をじっくり体感することができました。
■ものづくりに対する共通項
「お店で販売する家具を選ぶ、最後の決め手は、つくり手の人柄や考え方ですね」と語る佐藤さん。こいずみ産地展に参加したつくり手も、ものづくりに向き合う姿勢や考え方こそが共通項です。こいずみ産地展の目的の1つに、つくり手が「お互い学び合う」ことが掲げられています。地場の木材や理由のある材料を使い、それぞれのメーカーの技術を活かした家具や道具が並ぶ、合同展示会。つくり手の皆さんとのコミュニケーションの中で、小泉さんとの協働で何度も試行錯誤を重ねてきたエピソードや、使い手目線の工夫を知ることができ、背筋の伸びる思いと、そのものづくりを多くの人に伝えたいという思いが込み上げました。
■工務店と家具メーカーの協働
第二回のこいずみ産地展では、工務店の集う取り組み「わざわ座」が参加しました。大工の手で家具をつくることによって「手仕事の復権」を目指す活動です。そして、私もその中の工務店であり、こいずみ道具店OnlineShopを運営する「相羽建設」のスタッフです。今回の展示会で感じたのは、箸置きから建築まで幅広いデザインに取り組む小泉さんならではの、空間と家具の調和。その一体感こそ、私たち工務店の掲げる「豊かな暮らし」につながるのではないでしょうか。
小泉さんは、工務店の強みは「使い手の顔が見えるものづくり」だと言います。工務店ならではの取り組みの中で「空間と家具、道具が調和した暮らし」の共感者を増やすこと。志のある家づくりやものづくりを残していくこともまた、工務店の新たな役割だと考えています。家具メーカーや暮らしにまつわる道具を扱うこいずみ産地展の皆さんとの協働によって、建築と共に、より暮らしに身近な家具や道具を提案する取り組みにもご注目いただけたら嬉しいです。
■次の『こいずみ産地展』
大雪木工の突板倉庫で2024年にはじまった「こいずみ産地展」。小泉さんが全国各地で取り組んできたものづくりがつながり、それぞれの産地らしさを活かした合同展示を開催する取り組みへ発展していきます。第三回となるこいずみ産地展は2027年に、広島県府中市の若葉家具を拠点に企画中です!
こいずみ産地展
●参加メーカー
大雪木工 ( 北海道東川町)
若葉家具 ( 広島県府中市)
クワハタ (宮崎県都城市)
一般社団法人わざわ座
井上企画(福岡県大川市)
●協力
フォームレディ(大阪府大阪市)
登米町森林組合(宮城県登米市)
広松木工(福岡県大川市)
●会場デザイン
Koizumi Studio

こいずみ産地展が開催された丸徳家具店


北海道産材の『ハンの木』や『センの木』、『タモの木』をつかった定番の家具を中心にセレクト


新作の椅子や、『家具の手』建築パーツ、収納やテーブル、ソファーなど充実した展示




今は販売されていない、小泉さんデザインの貴重な製品が展示されている

クワハタにてイベントのために製作



デッキで使用されるセランガンバツ材を使うことで雨風に強い家具を実現