素と白

2024.03.14

日本では元来、色をつけていないものを「素|shiro」と呼び、その後、色のない色を「白|shiro」と表しました。「白」とは、潔白、白無垢、余白と、清く汚れのないという意味があり、紙や布も「白」になる工夫を重ねてきた大事な色です。また「素」は、素直、質素、素朴と着飾らないそのままの様子を表します。道具としても素材のままという意味とともに、必然的な機能をそのまま形にまとめた簡素な形のことも表しています。日本では、その簡素な道具を使いこなしてきた文化があることで「素」という表現が実現したのだと思います。

そんな「素と白|shiro to shiro」という展覧会をNYのギャラリーで行いました。「shiro to shiro」は、日本語では「白と素」。そして英語では「素から白」となり、日本の「shiro」の由縁を伝える展覧会となりました。

新建ハウジングプラスワン2019年7月号
連載「家+具|26」小泉誠

2019年ニューヨークでの展覧会「shiro to shiro」 のオープニング
nalata nalataのオーナー夫妻