箱と匣

2024.04.14

箪笥など、衣類やモノを入れる家具を「箱物家具」というが、元来モノを入れる箱は「匣(ルビで「はこ」)」という文字を使っていた。それでは「箱」とは何かというと、字を見ての通り、相方と二人で担ぐ竹に吊るした「箱」で、殿様が乗っていた駕籠はまさに「箱」。そして、電車のことも「箱」と呼ぶことから、モノも入れるが、人も入れるのが「箱」と定義できる。そんなこんなで旭川の「箱物メーカー」と、新たな箱のあり方を模索して「入れる匣から入る箱」という展覧会を行なった。二つの箱を合わせて「安楽椅子」になったり、テーブルの天板が箱になって「一つ屋根の下で同じ釜の飯を食う食卓」になったり、本棚に人が座れる場所を設けて「箱入り娘棚」になったりと、家具が部屋になるという楽しい試み。大小違えど、家も家具も同じ「箱」と考えると、家具の可能性もまだまだ広がるなと妄想がとまりません。

新建ハウジングプラスワン2019年8月号
連載「家+具|27」小泉誠

参考資料
「入る箱シリーズ」
http://www.taisetsu-mokko.co.jp/wp-content/themes/nino/catalog/hairuhako.pdf

ふたつ箱
食卓箱
書棚箱
「入れる匣から入る箱」展示会2019年旭川・大雪木工
机箱
働箱