図と地

2024.05.14

デザインで大切なことは、「図」というそのもの自体の形を考えると共に、その周辺の「地」も考えること。場合によっては「地」を考えることで「図」の形が導かれることもある。

先日完成したオフィスリノベーションの事例も「部屋箱」と呼んでいる2つの箱を配置して、その周辺に機能を作った。「図」となる「部屋箱」の一つは、大事な接客をする茶室のような部屋。もう一つが倉庫とキッチンを兼ねたバックヤード。この二つの「図」の周辺の「地」の部分が、事務所やショールームになっているという計画で、図と地の関係を考えたことで表裏なく心地良い空間に仕上がった。家の設計も、ついつい建物の中の計画のみに夢中になってしまいますが、周辺の環境に居場所や機能を与えることで、余白である「地」が、生き生きとなるはずです。

新建ハウジングプラスワン2019年9月号
連載「家+具|28」小泉誠

五拾画廊(写真/Koizumi Studio)