石ころの形

2024.06.14

子どもの頃から石ころが好きで、河原でよく石拾いをしていた。なぜ石が好きかと考えると「形」のもつ特色だと気付いた。丸や四角などの幾何学形態は、きちんと配列をしていないと違和感があり気になる。特に四角は厄介で、壁に飾った額縁が少しでも傾いていると気持ち悪くてしょうがない。でも石はというと、傾いていても配列に秩序がなくても全然気にならない。もともと石ころは地べたに適当に散らばっているので「適当」であることに違和感がない。そんな形の理由を知ってから、ドアストッパー、フロアランプ、ペン立て、スツールなど、石ころの形にして製品をいくつも作った。石ころの形だと置く場所を気にしないで「適当」でいいので気が楽だ。逆を考えると、人工物である四角い家や家具を作るときには、周りに違和感を与えないように、気を使って頑張らなくてはいけないということでもある。だから手を焼く四角い形は、デザイナーとして挑むことができる好きな形なのです。

新建ハウジングプラスワン2019年10月号
連載「家+具|29」小泉誠

tetu ドアストッパー 2016 |池永鉄工
鋳物発祥の地とされる大阪鉄器。「手込め」で鋳込んだ砂型の表情を生かした仕上げです。
石ころという自由な形態でペーパーウェイトにも使えます。
ishicoro-bon + corocoro-bon 2006|テーブル工房kiki
あまり見かけない、石ころ型のお盆です。
大きなお盆は、身体に馴染む形をしています。
ishicolo 2006|松下電工
いしころのような、まるくて、やさしいかたち。
シリコン製のやわらかなカバーは割れる事無く安全で、ぬくもりある光が透けてきます。