ふたつの寛ぎ

2024.08.19

徳島に、若い夫婦と小さな子供2人の家を建てた。目前の吉野川越しに徳島の象徴である眉山を望めるとても良い敷地で、この景色に向かい合うために、2階を家族が集まる場所とした。この2階には仕切りを作らずに、食べる、学ぶ、働く、寛ぐと、いくつかの居場所をつくった。中でも「寛ぐ」は、家族が向き合う内向きの「くの字のソファ」と、景色に向かい合う外向きの「小上がり」を設けた。このソファと小上がりを仕切るパネルが優れもので、クッションをソファの背に置けば普通にソファで、側面のパネルに置けばカウチのようにソファに乗って、うたた寝ができる。小上がり側からパネルの前に置けば風景を眺める居場所になる。「パネル+クッション」で、様々な寛ぎがつくれる。たかが一枚のパネルなのに、家具デザイナーの腕お見せ所となり「流石!」っと、自画自賛の仕事となった。

新建ハウジングプラスワン2019年12月号
連載「家+具|31」小泉誠

「眉山の見える家」
竣工:2018年
施工:セイコーハウジング