得手不得手

2025.07.14

人には得手不得手があるように、ものづくりの現場でも得手不得手がある。同じ「木」を扱う現場でも、「大工」と「家具工場」では得意なものが大きく違う。大工は杉や桧などの針葉樹を扱うことが得意で、家具工場は広葉樹を扱うことが得意。そして、大工は丁寧な手仕事が得意で、家具工場は精密な機械加工が得意。そんな家具工場は、大量生産に対応するための機械化された生産体制かと思われがちだが、これは大きな間違いで、独特な形状をした大量の刃物で、様々な断面形状や曲面加工など、機械でしかできない形を、手をかけてつくっている。

そんな「大工」と「家具工場」のいいとこ取りをしたテーブルを製品化してみた。タフで強度が必要な「天板」を家具工場が広葉樹でつくることで、円形や肌触りの良い断面形状が実現でき、「脚」を大工が針葉樹でつくることで、古い家屋の古材、現場やプレカット時の端材を使えて、その家だけのテーブルが出来上がるという仕組み。餅屋は餅屋と言って、餅だけでも十分美味しいのですが、八百屋や魚屋がいることで、もっと美味しい食卓が出来上がるという、お互いプロが関わることで、かけがえのないものが生まれるというおはなしでした。

新建ハウジングプラスワン2020年7月号
連載「家+具|38」小泉誠

広島府中の若葉家具と工務店の協働で生まれた「家具の手」
広葉樹の家具を加工するための金物は延べ1000を超える。それぞれ、形状や寸法が記載された紙箱で保管されている。
歴史のある工場内には、最先端の5軸CNC加工機が設置され精密な加工が施される。