古道具の定義

2023.01.14

学生の頃から古道具を手にしていた。当時は使い込まれた素材感と造形が目にとまり家に持ち帰った。その後、生活道具のデザインを始め、改めて手元にある古道具を見直すと、素材や形の理由が読み取れた。18世紀のヨーロッパの燭台は、鉄板を螺旋状に加工して木の台に差しただけの造形。螺旋はロウソクを支えると共に燃えて短くなるロウソクを持ち上げる機構になっている。螺旋を持ち上げる部品の穴には火消しの道具が掛かっていたそうだ。螺旋の先端の造形は持つ形で、全ての形に理由がある。使い込んだこの道具を見ていると、古道具の定義が見えてくる。

1.   持続可能であること。(物理的にタフである)
2.   用途が十分であること。(十二分ではなくていい)
3.   使い続けたいと思えること。(普遍/美学/愛着….。)

そんな言葉を拾い上げると、自分が関わった道具も「古道具」として使い続けてもらいたいと、心から思う次第です。

新建ハウジングプラスワン2017年7月号
連載「家+具|4」小泉誠