誰のためのデザイン?

2023.06.14

もともと道具は、身近な人のために「使う道具」としてつくられたが、400年程前に産地形成されてからは「売るための道具」としての役目も担ってきた。その頃から使い手との距離が生じ、顔を合わす事もできなくなった。多くの産業がそんな状況にも関わらず「デザインは誰のため?」との問いかけに「ユーザーのため」と大声で言う。会った事もないのに「ユーザーって誰やねん!?」と突っ込むと、市場調査やらなんやらでユーザー像が見えてくるらしい。顔も見た事ないのに、なんとも不健康な話だ。

そんな産業のまっただ中で悶々としていた僕は、工務店仲間と話している時にピンときた。「住宅産業は今でもユーザーが目の前にいる!」と。そんな環境なのに、作り手と使い手の関わりも少なく「モノ」として家が流通していることが多く「もったいないな~」と思った。唯一ユーザーの顔が見える産業としては絶滅危惧種なんだから、特色を活かして住宅産業の価値を変えていこう!っていうのが、わざわ座の活動「大工の手」なんです。なにはともあれ「住宅産業って良いな~~」っと、他の産業に関わる身から、羨ましく思う次第です。

新建ハウジングプラスワン2018年3月号
連載「家+具|11」小泉誠

産地として地道に製造をつづける南部鉄器