壊して試す
2023.11.14
建築の設計では、構造計算をすることで建物を建てる前に強さの確認が出来る。椅子の場合はどうかというと、それぞれ構造形態が違うため壊してみないと分からない。つまり破壊検査をして、どの程度耐えられるかを確かめる。検査は60kgの重りを叩き落とされたり、重りを乗せて脚を引っ張られたりとかなり拷問にちかい仕打ちを受ける。通常は数千回の拷問に耐えないと強度が不十分で「製品」に出来ないという過酷なもの。徳島でつくった椅子では7回で壊れるという国内最低記録を保持している…。「大工の手」のスタッキングスツールも「製品化」に向けて強度試験を受けた。結果は、座面・脚部(前方・側方)と、見事に拷問を耐え抜いた。垂木で出来て大工がつくったスツールで強度検査を受けたことも史上初。もちろん合格したのも初めての快挙です。と、いうことで大工の手のスツールは、強度試験を合格した立派な「製品」なのです。
新建ハウジングプラスワン2018年9月号
連載「家+具|17」小泉誠
「大工の手」KM.21 / taruki-stool (写真/阿部良寛)